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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻4号

1981年04月発行

文献概要

今月の主題 胃リンパ腫(3)―鑑別 主題

胃悪性リンパ腫の生検診断

著者: 豊田龍生1 神山隆一2 望月孝規1 富永浩平1 五関謹秀1 小西文雄1 立野一郎1 昌子正実1 桜井慶一1 平田一郎1 久保田芳郎1 飯田明1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科 2東京医科歯科大学医学部病院病理部

ページ範囲:P.413 - P.419

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 過去5年間に,当院において切除された胃原発の悪性リンパ腫は13例で,同時期に切除された胃癌800例の1.6%に当たり,胃悪性腫瘍中では胃癌に次ぎ頻度が高い.そのうち術前に診断されたのは7例である.胃X線検査によって診断されたのが,13例中2例,内視鏡的検査により診断されたものが,12例中2例である.生検が施行された11例中5例が組織学的に診断された.以上総合すると,計7例(約50%)が,いずれかの方法で術前診断可能であった(Table. 1).鑑別診断上,問題となるのは第1に胃癌であるが,ほかに,良性のリンパ腫,いわゆる反応性リンパ細網組織増生症(RLH),良性消化性潰瘍なども問題となる.

 一般に,悪性リンパ腫の中には,癌に比べて,放射線治療や化学療法によく反応する例が多く,治療方針を決定するうえで正しい組織学的診断を下すことが必要である.胃の悪性リンパ腫では,手術の適応を決定するためには,全身の悪性リンパ腫が胃へ転移したものか,胃原発の悪性リンパ腫か,の鑑別も行わねばならない.それゆえ,確定診断を下すうえでは,胃生検の意義は大きいと考えられる.それゆえ,ここでは,悪性リンパ腫の生検診断上の重要な点を明らかにするために,生検標本と切除標本の全割標本とを,比較検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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