文献詳細
今月の主題 胃リンパ腫(4)―治療と経過
主題症例 治療と経過
数個の小さな粘膜隆起が2年5ヵ月間に巨大皺襞へと発育した進行胃悪性リンパ腫の1例
著者: 二宮健1 馬場保昌1 丸山雅一1 杉山憲義1 竹腰隆男1 池田滋司1 大崎康世1 久原敏夫1 古賀正広1 高木国夫2 加藤洋3 中村恭一34
所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院外科 3癌研究会附属病院病理 4筑波大学基礎医学系病理
ページ範囲:P.531 - P.536
文献概要
症 例
患 者:51歳,男,会社員.
主 訴:食思不振,心窩部痛.
家族歴:特記することなし.
現病歴:1970年7月,某病院の人間ドックで胃X線検査を受けたが,特に異常所見は指摘されなかった.しかし,便潜血反応が陽性であったため内視鏡検査をすすめられた.同年9月,精密検査の目的で癌研内科を受診した.胃X線(9月10日)および内視鏡検査(9月12日)では,異常なしと診断された.1971年12月4日(1年3ヵ月後)のX線検査では,胃体上部の粘膜下腫瘍と診断され,内視鏡検査(12月5日)では,同部位の限局性肥厚性胃炎と診断された.患者は,1972年8月ごろより食思不振と心窩部膨満感を覚えるようになり,同年9月20日,某病院で胃X線検査を受けたが異常所見は指摘されなかった.しかし上記症状は改善せず,同年12月中句ごろよりとう痛を伴うようになったため,同年12月25日(2回目の検査の1年後)再び癌研内科を受診.胃X線検査(12月25日)の結果,胃体上部の進行癌と診断され,1973年1月19日手術の目的で入院した.
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