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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻5号

1981年05月発行

今月の主題 胃リンパ腫(4)―治療と経過

主題症例 治療と経過

胸腔内に穿孔した胃悪性リンパ腫の1例

著者: 渡辺能行1 山口勝通1 青池晟1 田中研一2 木本邦彦2 池内秀夫2

所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生 2大阪鉄道病院内科

ページ範囲:P.581 - P.584

文献概要

 胃噴門部から穹窿部にかけて存在した胃悪性リンパ腫が,横隔膜へ浸潤した後,左胸腔内へ穿孔し,左肺の血気胸を起こして急激に死の転帰をとった症例を経験したので報告する.

症 例

 患 者:47歳,男,国鉄職員.

 主 訴:吐血・下血.

 既往歴:34歳のときに流行性耳下腺炎に罹患した以外は特記すべきものなし.

 家族歴:父に脳血管障害,母に高血圧,糖尿病がある.

 現病歴:半年前に上腹部不快感を訴え本院を受診し,胃X線検査によりFig. 1のごとく,穹窿部の変形および壁の不整,硬化像を認め,特に噴門部および穹窿部大彎側には陰影欠損を見る.更に穹窿部から体上部にかけて粗大皺襞の蛇行が認められ,また小彎線は体中部まで,大彎線は体下部までの壁の直線化を認めるが,胃の伸展性は保たれている.この時点で粘膜下腫瘍,特に胃悪性リンパ腫を疑われ,精査をすすめられるが,以後当院を受診せず放置されていた.今回,約2週間前より上腹部鈍痛,食欲不振があり,前日コップ半分の吐血が2回あり,更にタール便を来したため当院を受診した.緊急内視鏡検査では,胃穹窿部より体上部にかけて多最の血液を認め出血部位の確認ができなかった.貧血を認め全身状態不良のため緊急入院となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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