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今月の主題 実験胃癌とヒト胃癌 序説
実験胃癌とヒト胃癌
著者: 長與健夫1
所属機関: 1愛知県がんセンター研究所
ページ範囲:P.713 - P.714
文献購入ページに移動胃癌を実験研究の対象とする目的は2つある.その1つは上に書いたような線に沿って,その原因や発生の機構をつきとめようとするもので,最終的には動物実験に訴えることになるであろうが,それ以前により基礎的な研究が必要で,現在変異原性と癌原性,イニシエーターとプロモーターの関係についてなど,より分析と綜合を指向する研究が進行中である.他の1つは既に知られている方法を使って動物の正常な胃粘膜から癌が発生してくる過程を種々な観点から観察分析し,癌化に先行する病変があるか否か?あるとすればそれはどのような変化であるのか?癌が発生してからその個体を斃すほどに発育増殖してゆくまでにどれぐらいの時間がかかり,その間にどのような変化があるのか?肉眼型・組織型の違いは何によっているのか?また癌の増殖を促進し,また抑制する因子は何であるのか?などなど患者については行いたくとも行い得ないことを動物を使って研究・検討することである.この特集号では後者の研究領域についての現況がこの道のエキスパートである何人かの先生によって述べられるが,臨床との関係を重んずる立場からイヌの胃癌に焦点をしぼった.
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