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今月の主題 実験胃癌とヒト胃癌 主題
ヒト胃癌のモデルとしての実験イヌ胃癌―ヒト胃癌と実験イヌ胃癌の対比
著者: 中村恭一
所属機関: 1筑紫大学基礎医学系病理
ページ範囲:P.723 - P.726
文献購入ページに移動 杉村ら(1967)がMNNG(N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine)を用いてラットに胃癌を高率に発生させることができることを発表して以来―それまでは実験胃癌の作製は困難であったのであるが―イヌにも高率に実験胃癌を作製することが容易になり,わが国ではイヌを用いた胃癌発生実験が盛んに行われるようになった.そのイヌを対象とする理由は,恐らくは,対象が大型の哺乳動物であることおよびイヌ胃は組織学的にヒト胃に類似しているという2点であろうと思われる.ここにおいて,改めてヒト胃癌のモデルとしての実験イヌ胃癌という問題が派生してくるのは自然の成り行きであろう.
筆者はヒト胃癌の臨床病理学的なことに興味を持っている一人であるが,村上忠重教授による“ヒト胃癌と実験胃癌との対比に関する研究”,それに続く小山靖夫博士による“実験イヌ胃癌に関する研究”においてヒト胃癌の立場から実験イヌ胃癌を眺めるという機会が数多くあったので,ここではヒト胃癌と実験イヌ胃癌との対比を通じて,いわゆるモデル論なるものを少々展開してみたい.
筆者はヒト胃癌の臨床病理学的なことに興味を持っている一人であるが,村上忠重教授による“ヒト胃癌と実験胃癌との対比に関する研究”,それに続く小山靖夫博士による“実験イヌ胃癌に関する研究”においてヒト胃癌の立場から実験イヌ胃癌を眺めるという機会が数多くあったので,ここではヒト胃癌と実験イヌ胃癌との対比を通じて,いわゆるモデル論なるものを少々展開してみたい.
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