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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻7号

1981年07月発行

文献概要

今月の主題 実験胃癌とヒト胃癌 研究

抗癌剤治療効果判定のモデルとしての実験胃癌

著者: 田中義憲1 魚住玄通1 井口秀人1 青池晟1 川井啓市1

所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.745 - P.750

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 近年盛んに行われるようになった悪性腫瘍患者に対する免疫療法は,化学療法の場合と同様に動物実験の結果と臨床治験での成績にかなりの相違があることは多くの臨床家の一致した見解である.この原因の1つに効果判定のために用いた動物実験系それ自身の問題がある.すなわち,マウスやラットなどの小動物を用いた移植腫瘍での短期間の経過とヒトの臨床経過での差が効果判定でのズレにつながっている可能性があるからである.この意味で今後の化学療法および免疫療法の実験モデルには,ヒトの臨床経過にみられる腫瘍の発育と同様の経過を示す実験系を用いることが要求される.

 既に報告しているようにENNG(N-ethyl‐N'-nitro-N-nitrosoguanidine)によるイヌの胃癌発生および発育過程はヒトの胃癌とかなり似かよっている1).この経過観察が可能な発癌実験系が癌に対する薬物の効果判定のための動物実験系として大きな役割を占めてくることはほぼ確実であり,早期胃癌を含めた胃癌の治療実験モデルとしての有用性のみならず,予防実験のモデルとしてもその有用性が検討されてきた.われわれはこの実験系を用いて,immuno potentiator の効果判定を行う試みを行っており,その有用性について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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