胃と腸16巻7号

1981年07月発行

今月の主題 実験胃癌とヒト胃癌 主題症例

ENNGによるBorrmann3型イヌ胃癌の作製

著者： 藤田昌英¹ 南平繁¹ 塚原康生¹ 田口鉄男¹ 佐藤正之²

所属機関： ¹大阪大学微生物病研究所病院外科 ²大阪大学微生物病研究所病院放射線科

ページ範囲：P.761 - P.766

　N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine（MNNG）をイヌに投与して胃癌が発生することを，われわれ¹⁾が杉村ら²⁾と同時に発表して以来，既に10年以上が経過した．この間，数多くの報告^3)～8)がなされ，イヌ実験胃癌の作製法は今や確立されたかの観がある．しかし，それぞれの方法には，癌の好発部位や同時多発性，他臓器癌や肉腫の同時発生などの点で一長一短があり，臨床で扱うヒト胃癌との問には，なお，かなりの隔たりが感じられる．

　本論文では，最近われわれが成功した選択的Borrmann3型胃癌発生のあらましについて述べる．