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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻9号

1981年09月発行

文献概要

今月の主題 小腸腫瘍(1) 研究

小腸癌内の銀反応陽性細胞

著者: 岩下明徳1 城戸英希1 遠城寺宗知1

所属機関: 1九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.1029 - P.1039

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 好銀性細胞(argyrophil cells)と銀還元性細胞(銀親和性細胞 argentaffin cells)とは,通常胃の固有腺底部や小腸・大腸の陰窩底部に分布し,内分泌機能を有する.これら銀反応陽性細胞はカルチノイド腫瘍の発生母細胞と考えられ31)40)44),該細胞の存在確認はカルチノイド腫瘍の診断上重要な基準の1つとされていた.しかるに銀反応陽性細胞はカルチノイド以外の腫瘍,例えば胃癌1)13)20)29)32)33)37)43)48)51),胃腺腫19)50),大腸癌10)11)13)23)29),大腸腺腫10)23),鼻腔内腫瘍25)42)などにも出現することが知られるようになり,加えて銀反応陰性カルチノイドの存在,またごく一部に粘液産生や腺管構造を伴うカルチノイド5)6)7)21),通常の粘液産生性腺癌とカルチノイドから成る混成型カルチノイド(composite carcinoid)2)16)17)47)49),虫垂の杯細胞カルチノイド(goblet cell carcinoid)9)24)28)45)などの存在がわかってきた.これらの事実は従来のカルチノイド腫瘍の概念,発生母細胞および消化管内分泌細胞の発生学的由来に関して新たな問題を提起している.

 ところで,カルチノイド以外の腫瘍に出現する銀反応陽性細胞については,現在までのところ胃癌,胃腺腫,大腸癌などでの詳細な報告をみるが,小腸腫瘍では,その発生も少ないこともあって,わずかに空腸乳頭腫での症例報告4)をみるのみである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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