文献詳細
文献概要
今月の主題 ERCP―10年を経て―(1)診断能と限界―特に総合画像診断における位置づけ 主題
ERCPによる胆道良性疾患の診断―主として留置バルーンカテーテル法について
著者: 池田靖洋1 吉本英夫1 田中雅夫1 伊藤英明1
所属機関: 1九州大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1095 - P.1105
文献購入ページに移動因みに,筆者らが胆道良性疾患の中でERC診断に難渋した症例を思い起こしてみると,以下の2群に大別できそうである.1つは病変部を透亮像や陰影欠損として描出しえたにもかかわらず,X線学的に性状診断がつかなかった群で,他の1つは,現行のERC手技では鮮明な充満像が得られず,そのために確診に至らなかった群である.例えば,前者として総胆管のadenomaやadenomatous hyperplasia2),総胆管壁に固着した結石2)などの症例を経験しており,現時点での術前確診には,やはり経口的3)あるいは経皮的4)胆道鏡による直視下生検に頼らざるを得ないようである2).この方面の一層の進歩を期待したい.一方,後者としては,多くの肝内結石症例を経験しており,本症に対するERC診断能の向上にはERC手技の展開が不可欠と思われる.
掲載誌情報