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文献詳細

雑誌文献

胃と腸17巻10号

1982年10月発行

文献概要

今月の主題 ERCP―10年を経て―(1)診断能と限界―特に総合画像診断における位置づけ 主題

ERCPによる胆道良性疾患の診断―主として留置バルーンカテーテル法について

著者: 池田靖洋1 吉本英夫1 田中雅夫1 伊藤英明1

所属機関: 1九州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1095 - P.1105

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 ERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio-Pancreatography)の開発以来,既に10年以上を経過し,本法の有用性については,今更言を待たない.また手技面でも,近年,器種の改良によって造影率や選択的胆管内挿管率に著しい向上をみている1).しかし,一方ではERCPに成功しても確診に至らない症例を少なからず経験していることも事実である.

 因みに,筆者らが胆道良性疾患の中でERC診断に難渋した症例を思い起こしてみると,以下の2群に大別できそうである.1つは病変部を透亮像や陰影欠損として描出しえたにもかかわらず,X線学的に性状診断がつかなかった群で,他の1つは,現行のERC手技では鮮明な充満像が得られず,そのために確診に至らなかった群である.例えば,前者として総胆管のadenomaやadenomatous hyperplasia2),総胆管壁に固着した結石2)などの症例を経験しており,現時点での術前確診には,やはり経口的3)あるいは経皮的4)胆道鏡による直視下生検に頼らざるを得ないようである2).この方面の一層の進歩を期待したい.一方,後者としては,多くの肝内結石症例を経験しており,本症に対するERC診断能の向上にはERC手技の展開が不可欠と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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