文献詳細
文献概要
一冊の本
Inflammatory Bowel Diseases
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1222 - P.1222
文献購入ページに移動本書の内容は 1)New pathological concepts,2)Etiology,3)Pathogenesis,4)Management,5)New directions for future researchの5章に分かれており,合計26の抄録が収められている.細かい内容は省略するが,読み通してみると欧米の専門家たちのこの方向における動向の大略がつかめて興味深い.臨床的にはよりCrohn病の治療の比重が重くなっていることは明らかであり,etiologyに関しては1つの壁に突き当たっているように見受けられる.最後の章でKirsnerも指摘しているように,多種多様な最新の知識を総合することによって,IBDがよりよく理解され,その本態を解く鍵が見付かるのかもしれない.その意味でこのシンポジウムは大変重要な役割を果たしたのであろう.本書を読むことによってその一端を知ることができるのは,この方面の専門家にとっては大変意義深いことである.北欧の研究者が含まれていないこと,抄録集であるために,記述,タイプのスタイルが一致していないことが気になるが,内容から種々の情報を探し出すのに問題とはならない.1984年9月に再び同様な国際シンポジウムを,エルサレムで開催する意向であると序文にあるが,本書の内容をみると是非出席して直接にこの方面のスーパースターたちの話を聞いてみたい欲求にかられる.この方面の専門家には一読を勧めたい本である.
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