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文献詳細

雑誌文献

胃と腸17巻11号

1982年11月発行

文献概要

今月の主題 ERCP―10年を経て―(2)技術の進歩と展開 主題

内視鏡的逆行性胆道ドレナージ法

著者: 富士匡1 天野秀雄1 有山重美1 相部剛1 永富裕二1 前谷昇1 浅上文雄1 播磨一雄1 竹本忠良1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1223 - P.1230

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 消化器疾患のなかでも,膵・胆道癌がここ数年,特にクローズアップされてきた.その背景にはERCPの普及や,各種画像検査法の開発,進歩など,胆・膵領域の診断面の多様な発展がまず挙げられる.しかし,今日においても,膵・胆道癌は早期の癌の発見が難しいため,切除率や術後の遠隔成績に向上がみられていない.したがって,これからも小さな膵・胆道癌の発見に向けて努力が重ねられなければならないことは言うまでもない.この目的に対しては,現在開発途上にある.超音波内視鏡や経口的膵胆管鏡の実用化が期待される.これらの新しい診断法のターゲットは膵・胆道癌の早期発見におかれていることは多くを言う必要はないだろう.

 一方では,現在,膵・胆道癌の大多数を占めている,あまりにも進行してしまった癌患者に対する治療のほうが,診療の現実面ではより大きな問題をかかえていると言えよう.しかしながら,今なお有効な化学療法もない現状においては,たとえ姑息的な治療法ではあっても,より有効で持続的な新しい治療法が開発されなければならない.既に,経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)が,閉塞性黄疸を伴う膵・胆道癌の術前の非観血的減黄術として,また,切除不能症例の永久的減黄術として,大きな効果を上げていることは周知の事実である.現在では,内科医にとってもPTCDが必須の手技となってきているが,これには熟達したテクニックと労を惜しまないアフターケアが必要である.しかし,PTCDは非観血的手技とはいえ,invasiveな手技であり,患者に与える負担が少なくない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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