今月の主題 症例・研究特集
症例
多発性筋炎に合併した間質性肺炎,偽性腸管閉塞症および腸管囊腫様気腫の1例
著者:
塙充弘1
戸田治雄1
小林裕1
藤沢弘芳1
松岡松三2
所属機関:
1聖隷浜松病院内科
2聖隷浜松病院
ページ範囲:P.1021 - P.1027
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偽性腸管閉塞症intestinal pseudo-obstruction(以下IPOと略す)とは,腸閉塞類似の症状を呈し,X線検査で認められた腸管腔の閉塞や狭窄が,手術や剖検で確認できない病態を言い,また,腸管囊腫様気腫pneumatosis cystoides intestinalis(以下PCIと略す)は,腸管の粘膜下や漿膜下に,気体がびまん性に散在して認められる病態を言い,双方とも原因は不明である.PCIでは腹腔内遊離ガスを高率に認めるため,IPO同様,不適切な手術の行われる危険がある.現時点では,PCIの気体の由来として,消化管と肺胞が考えられており,今回われわれの経験したPCIは,間質性肺炎とIPOを呈した多発性筋炎の症例であり,PCIの発生機序を考えるうえで興味深く,膠原病とPCIの関連とも併せて報告する.
以下,膠原病の病名は下記の略語を使用する.PSS(進行性全身性硬化症),SLE(全身性エリテマトーデス),PM(多発性筋炎:皮膚筋炎を含む),RA(慢性関節リウマチ),PN(結節性動脈周囲炎),MCTD(混合性結合組織病).