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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻1号

1983年01月発行

文献概要

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編集後記

著者: 中澤三郎

所属機関:

ページ範囲:P.108 - P.108

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 上部消化管診断におけるX線,内視鏡は,これまで,車の両輪のごとく,その特徴を生かし欠点を補い合って,すばらしいチームワークを誇ってきました.が,しかし,このところ緊密な両者の間にいささか怪しい雰囲気が漂ってきました.その原因は単一ではなく,種々の要因が挙げられますが,その1つに内視鏡器具の改良があります.そして現在では上部消化管検査のスクリーニングにはX線不要論さえ聞かれるようになりました.

 しかし,スクリーニングとしてのX線検査がこの世から消え去った場合を考えるとき,何の不安も感じない人はないのではないでしょうか.そこには,単に従来,慣れ親しんできたものを失う淋しさだけでなく,本質的に両者は異なった素質を持っているからです.徒らに“目糞鼻糞を笑う”の愚を繰り返すことなく両々相まって発展すべきではないのでしょうか.上部消化管を診るということは,すなわち,腹部全体を,いや全人的に考慮することにほかなりません.“鹿を追う者は山を見ず”のたとえは臨床医が常に心得るべき戒めでありましょう.と,ここまで書いてきましたが,今度この同じテーマで特集が企画されるときには果たしてどうなっているのでしょうか.時代の波に押され“わが心千々に乱れる”といった心境です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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