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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻11号

1983年11月発行

症例

胃潰瘍穿孔を合併したMénétrier病の1例

著者: 河野辰幸12 渡辺毅12 星野洋12 五関謹秀1 毛受松寿1 住田幸治2 沢田芳博3 阿部由明4

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1外科 2北病院 3順医会京橋クリニック 4帝京大学医学部病理

ページ範囲:P.1209 - P.1214

文献概要

 近年,診断技術の向上により,いわゆるMénétrier病あるいは胃の良性巨大皺襞症として経過観察されている例も少なくない.われわれはこのような経過観察中に胃潰瘍を合併,穿孔にまで至ったために緊急手術を行い,術前に存在した低蛋白血症も消失した1例を経験したので報告する.

 症 例

 患 者:32歳,男性.

 主 訴:上腹部痛.

 家族歴:父が胃潰瘍,姉が胃癌で共に死亡.

 既往歴:22~23歳時,上腹部不快感で約半年間服薬したことがある.

 現病歴:1974年12月,上腹部痛を主訴として京橋クリニックを受診し,胃透視および内視鏡検査により,良性と思われる胃の巨大皺襞が発見された.また同時に低蛋白血症(T. P. 5.0g/dl,A/G 1.3)も存在したことからMénétrier病と診断され,抗プラスミン剤などが投与された.このとき巨大皺襞のほかには潰瘍やびらんなどの病変は発見されなかった.約6カ月間の内科的治療で自覚症状は軽快したが,1976年5月には再び上腹部痛が出現し,胃透視で胃角上部に潰瘍を認め,内科的治療により6カ月後には軽快した.しかし,1978年2月には上腹部痛と共に少量の吐血があり,胃透視で再度胃角上部に潰瘍を認めたため内科的治療を行っていたところ,1978年3月10日,食後突然に激烈な上腹部痛が出現し,北病院へ緊急入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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