icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻11号

1983年11月発行

文献概要

症例

Carcinoma in situおよびdysplasiaを伴った食道憩室内癌の1例

著者: 岡村正造1 中澤三郎1 川口新平1 芳野純治1 岩田雅人1 小沢洋1 川瀬修二1 太田博郷1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2内科

ページ範囲:P.1215 - P.1221

文献購入ページに移動
 食道憩室内に発生した癌は,食物のうっ滞と発癌との関連を考えるうえで興味深い臨床事象である.しかしその報告例はいまだ数少なく,術前検査や術後の主病巣周辺粘膜を含めた病理学的検討も十分とは言い難い.最近,われわれは中部食道の巨大憩室内に表在型の主癌病巣を有し,ほかにも憩室内外に広範囲にわたってcarcinoma in situや種々の程度の異型性を有するdysplasiaを散在性に認めた1例を経験した.本例が診断学的のみならず病理学的にも癌発生を考えるうえで貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加えて報告する.

 症 例

 患 者:65歳,男性.

 主 訴:嚥下困難,嘔吐.

 既往歴,家族歴:特記すべきことなし.

 嗜 好:若い頃より喫煙20本/日,飲酒5合/日.

 現病歴:20歳ごろから嚥下障害が出現していたが放置していた.60歳ごろには嘔吐もみられるようになり某医を受診したが食道憩室と診断され短期間の治療を受けたのみであった.その後1982年10月に検診を受け中部食道の巨大憩室を指摘され当科を訪れた.内視鏡検査により憩室内に発生した食道癌が疑われ同年12月に入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら