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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻11号

1983年11月発行

症例

術前診断が困難だった残胃のびまん浸潤癌の1例

著者: 小西敏郎1 片柳照雄1 前田栄昭2 滝沢登一郎3 小池盛雄3

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院内科 3東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1223 - P.1228

文献概要

 胃切除後の残胃の病変についての診断は,術後の癒着や変形などの要素も加わって診断法の発達した現在でも困難さを感じることが少なくない.最近,われわれは術前に残胃の小さなIIc型早期胃癌と診断したが,切除標本にてびまん浸潤型進行癌で再手術を余儀なくさせられた症例を経験した.術前のX線写真と内視鏡写真をretrospectiveに検討すると,極めて特異な所見を見逃していたので,反省を含めて報告する.

 症 例

 患 者:53歳,男性.

 主 訴:易疲労感,上腹部痛,体重滅少.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:1970年6月(約11年前)に胃癌にて他院で胃亜全摘,Billroth II法で再建術を受けている.借用した当時の術前の内視鏡フィルムでは(Fig. 1),幽門前庭部の全周性のBorrmann 3型胃癌である.切除標本の病理組織学的報告では,adenocarcinoma tubulare et mucocellulare,深達度pm,infβ,ow(-),aw(-),

リンパ節転移なし,とのことであった.その後同院で胃X線検査と胃内視鏡検査を毎年のように繰り返し施行されていたが,特に異常は指摘されなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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