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雑誌目次

雑誌文献

胃と腸18巻12号

1983年12月発行

雑誌目次

今月の主題 Crohn病の診断 序説

“Crohn病の診断”特集に当たって

著者: 大柴三郎

ページ範囲:P.1259 - P.1259

 Crohn病や潰瘍性大腸炎の早期の病態はどんなものであろう? 残念ながら現在なお未解決の問題である.

 Crohn病が「胃と腸」の特集号として取り上げられたのは1978年で,3号(13巻3,4,12号)に分けられている.その内容はCrohn病の歴史的背景,診断,病理,治療,予後,日本例と外国例の比較,および疑診例が主題として述べられている.しかし,いずれも,すっかり出来上がった病型,胃で言えばBorrmann分類病型についての論説である.それから4年,早期胃癌に匹敵するようなものが診断されてきているだろうか.最近,早期胃癌研究会では典型的でない症例の提示がみられ,殊にCrohn病患者に合併する微細な胃のCrohn病変なども診断されてきている.こんな病変が長期経過観察でどのように形態学的に変化してゆくかは極めて興味深い.もし進行するものであれば,Crohn病の出来上がり方に大きな示唆を与えるものであろう.

主題

Crohn病の形態と臨床症状

著者: 長廻紘 ,   長谷川かをり ,   田辺誠 ,   秋本伸 ,   浜野恭一

ページ範囲:P.1279 - P.1292

 Crohn病の肉眼形態と臨床症状の相関をみるため,自験例につき検討した.その結果,(1)小腸病変は縦走潰瘍を主体にしたものが圧倒的に多く,hose-pipe像,cobblestone像の典型的なものはみられなかった.(2)大腸病変は欧米の症例に類似したもの,特に広汎かつ典型的なcobble-stone像を呈するものが多かった.(3)病変部位,肉眼所見と臨床症状,検査データに有意の相関はみられなかった.(4)合併症では肛門部病変が多く,全身合併症はまれであった.小腸Crohn病で穿孔で発症したものが3例あった.(5)長期観察しえた症例についてみると,大腸病変では肉眼所見に変化がみられることが多いが,小腸病変では病変の進行が遅いという印象を受けた.

 対象症例

 当消化器病センターおよび関連病院で経験したCrohn病を材料とした.内訳は小腸Crohn病10例,小腸・大腸Crohn病10例,大腸Crohn病5例の計25例である.術後症例(腸管切除後再発2例,腸管非切除で吻合術のみ1例)は検討から除外した.またCrohn病と診断した症例でも,小腸・大腸以外に限局した例,症状に重大な影響を及ぼす合併症(腸癌など)のある例などは除外した.

Crohn病の臨床症状と形態との相関―手術例を対象にして

著者: 西俣嘉人 ,   谷山茂樹 ,   柳田勤 ,   牧猛

ページ範囲:P.1293 - P.1296

 従来,わが国に少ないとされていたCrohn病の報告も近年増加しつつあり,本誌でも数回にわたって特集号が組まれてきた.

 Crohn病の臨床症状として腹痛,下痢,体重減少が頻度が高く,これらは小腸,大腸,および小腸と大腸の両方に病変を有するものに,いずれにも共通してみられる.これらの臨床症状は病変の部位,範囲,stageによって程度の差はあると思われるが,病変の形態との相関に関してはいまだはっきりしていない.そこでわれわれは手術症例を対象に,臨床症状と肉眼所見との相関について検討してみた.

主題症例 非典型的発症を示したCrohn病

直腸型Crohn病の1例

著者: 坂本清人 ,   田中靖邦 ,   豊島里志

ページ範囲:P.1297 - P.1302

 Crohn病は消化管のあらゆる部位に発生するとされているが,その多くは回腸,結腸,および両者の混合型である.

 われわれは最近,発生部位的に極めて頻度の低い直腸に病変の主体がみられたCrohn病の1例を経験したので報告する.

虫垂および盲腸に限局したCrohn病の1例

著者: 高見元敞 ,   花田正人 ,   木村正治 ,   竹内直司 ,   北原健志 ,   藤本高義 ,   清水宏 ,   高田俊明 ,   奥村幸康 ,   太田俊行 ,   藤見克彦

ページ範囲:P.1303 - P.1310

 虫垂に発生したCrohn病は,欧米では相次いで報告されている1~11)が,わが国では,このような限局性の病変をCrohn病と診断することを疑問視する向きもあり,虫垂Crohn病の報告はほとんどみられない.

 われわれは最近,虫垂ならびに盲腸に限局したCrohn病と考えられる症例を経験したので,その詳細を報告し,併せて文献的考察を加えた.

回腸穿孔を来したCrohn病の1例

著者: 勝又伴栄 ,   山本佳正 ,   五十嵐正広 ,   秋間礼二 ,   岡部治弥 ,   島津盛一 ,   高橋俊毅 ,   中英男

ページ範囲:P.1311 - P.1316

 Crohn病は慢性に進行する消化管の炎症と言われ,腸管壁の肥厚,線維化などを伴いやすいため,その合併症としては瘻孔形成や狭窄の頻度が高く,腹腔内への穿孔はまれと考えられてきた.しかし近年内外で穿孔例の報告が増え,Crohn病の急性増悪に伴う合併症とする考え方もみられる.われわれも回腸にfree perforationを起こしたCrohn病の1例を経験したので報告し,穿孔の原因などについて若干の考察を試みる.

症 例

 患 者:23歳,男性.

 主 訴:腹痛,腹部膨満感.

 家族歴:父,急性肝炎.

 既往歴:20歳時,痔瘻の手術.

 現病歴:1年前より上腹部痛があり,近医で胃内視鏡検査を受け胃多発ポリープの診断および3カ月後の再検査で縮小していると言われた.1978年10月ごろより臍周囲から右下腹部を中心とする鋭い痂痛と腹鳴を時々認めるようになったが,悪心,嘔吐,発熱はなかった.1979年になり腹部膨満感,食欲不振,体重減少も加わり当院受診し,同年5月7日精査のため入院となった.

突然の下血を主訴とし,非定型的に発症したCrohn病の1例

著者: 飯田三雄 ,   久保元敏 ,   畑中正文 ,   渕上忠彦

ページ範囲:P.1317 - P.1321

 Crohn病は通常,腹痛,下痢,体重減少,発熱などを主症状として発症し,初診時には貧血,炎症所見,栄養障害などに関する検査所見の異常を高率に伴っている1)~3).最近,われわれは突然の下血を主訴とし,諸血液検査所見に全く異常を認めなかったCrohn病の非定型的発症例を経験したので報告する.

症 例

 患 者:37歳,男性,医師.

 主 訴:下血.

 既往歴:17歳時アレルギー性鼻炎.

 家族歴:特記すべき事項なし.

 現病歴:1976年夏過労時初めて腹痛(疝痛様)発作があったが,副交感神経遮断剤(ブスコパン)の注射ですぐ軽快した.以後,年に1~2回の頻度で過労あるいは暴飲暴食時などに同様の腹痛発作あったが,すぐ軽快していた.1983年4月12日夜,突然下腹部膨満感出現し,浣腸にて得た便は暗赤色を呈していたので,翌日精査のため当科外来受診.この間,下痢,体重減少,発熱は認められなかった.

座談会

Crohn病診断のきっかけとなる症状・所見

著者: 樋渡信夫 ,   棟方昭博 ,   田中昌宏 ,   勝又伴栄 ,   渕上忠彦 ,   北野厚生 ,   西俣嘉人 ,   中村恭一 ,   大柴三郎 ,   八尾恒良

ページ範囲:P.1260 - P.1277

 大柴(司会) 「胃と腸」のCrohn病特集号は5年前(13巻3,4,12号)にありましたが,その後Crohn病が年代と共に増えています.Crohn病の特徴は若年者に多く,腹痛,下痢,発熱が主症状になりますが,若年者ですと,そういう症状があっても小腸検査をしないことが間々あり,そのために診断がどうしても遅れてしまうことがあります.

 本日の座談会は診断のきっかけになる症状・所見についてお話しいただきますが,八尾先生が今回206例のCrohn病症例のアンケート集計をなさいましたので,そのデータをもとにして,まず八尾先生から話を進めていただきたいと思います.

研究

Crohn病の胃・十二指腸病変

著者: 八尾恒良 ,   岩下明徳

ページ範囲:P.1323 - P.1334

 1932年のCrohnらの報告以来,本症に関する数多くの研究によって,Crohn病は全消化管を侵す疾患として知られ,かつ認知されている1)

 消化管病変の中で,胃・十二指腸に病変を有するCrohn病は,孤在性のものはもちろん,小腸,大腸病変に合併した症例もそれほど多くなく,本邦で7例3)~5),欧米では1979年までに200例前後の報告があるにすぎない6)7).これらの胃・十二指腸Crohn病のほとんどは,心窩部痛や閉塞症状などの臨床症状を有し,X線学的にも著明な辺縁像の変化や狭窄を伴うものであった8)9)

症例

特異な盲腸変形を示したいわゆる線維形成性虫垂炎の1例

著者: 松川正明 ,   碓井芳樹 ,   小林茂雄 ,   梁承茂 ,   鎌野俊紀 ,   巾尊宣 ,   桑原紀之 ,   石岡知憲 ,   山田隆治

ページ範囲:P.1335 - P.1341

 回盲部領域の病変は,腫瘍性のものと炎症性のものとに大きく分けられる.この部の炎症性病変は,腸結核,アメーバなどの特異性疾患によるものと,単純性潰瘍,線維形成性虫垂炎などの非特異性疾患によるものがある.今回,回盲部に特異な形態を呈した線維形成性虫垂炎を経験したので報告する.

症 例

 患 者:52歳,男性,会社員.

 主 訴:右下腹部痛.

 家族歴,既往歴:特になし.

 現病歴:1981年10月に右下腹部痛と下痢があり,近医を受診した,鎮痙剤の服用にて,疼痛・下痢の症状は消失した.1982年2月に右下腹部痛が出現したが,発熱,下血はなかった.今回も鎮痙剤の服用で症状は消失した.注腸検査で回盲部に異常を指摘され,当院を紹介された.

食道,胃,十二指腸に微小・微細病変を伴った小腸Crohn病の1例

著者: 牛尾恭輔 ,   石川勉 ,   後藤裕夫 ,   笹川道三 ,   山田達哉 ,   土方淳 ,   田尻久雄 ,   吉田茂昭 ,   吉森正喜 ,   板橋正幸 ,   廣田映五 ,   市川平三郎

ページ範囲:P.1343 - P.1350

 最近,Crohn病には上部消化管にも微小・微細な病変が,高率に存在することが明らかになりつつある,われわれは回腸下部に縦走潰瘍とcobblestone appearanceを有し,Crohn病と診断された例において,咽頭,食道,胃全域,十二指腸にも,微細な潰瘍性病変を認め,しかも遡及的に病変の推移を観察しえた例を経験したので,X線像の推移を中心に報告する.

症 例

 患 者:49歳,主婦.

 主 訴:腹痛.

 既往歴:33歳-虫垂切除術,38歳-胃潰瘍.

 家族歴,生活歴:特記すべき事項なし.

 現病歴:1981年4月ごろより,腹痛および下肢に結節性紅斑が出現し,国立がんセンターを受診.一般臨床検査で高アミラーゼ血症があったため膵炎が疑われ,保存的治療で軽快した.しかし,翌年3月,再び腹痛と結節性紅斑が出現し,今回は下痢,背部痛と体重減少を伴ったため,7月精査の目的で内科に入院した.

食道内中隔―不完全食道重複症の1例

著者: 伊東昌子 ,   三宅秀敏 ,   橘川桂三 ,   犬塚幹人 ,   林邦昭

ページ範囲:P.1351 - P.1353

 消化管重複症は,舌根部から肛門までの消化管のいずれの部位にでも起こりうる先天奇形であり正常の消化管粘膜や平滑筋を持った,通常,囊状あるいは管状の構造を示すものである1).本来の消化管との交通はないことが多いが,交通性を有するものもある.今回われわれは,食道下部が正常食道粘膜を持つ縦走する中隔によって,2つの内腔に分かれているという興味ある症例を経験した.発生学的な考察から,不完全食道重複症と診断したので報告する.

症 例

 患 者:68歳,男性.

 既往歴:幼少時より,食物をのどに詰まらせたり,食道炎を起こした既往歴はなく,また外傷の既往もない.

 現病歴:呼吸器症状・胸部圧迫感もない.年1回近医で上部消化管造影検査を受けていたが,今まで一度も異常を指摘されたことはなかった.今回,胃集団検診にて,胃角変形を指摘され,精密検査目的で佐世保総合病院放射線科を受診した.

Case of the Month

Early Gastric Cancer, Type Ⅱa

著者: ,   ,   ,  

ページ範囲:P.1255 - P.1258

 A 65 year-old house wife visited Akashi Municipal Hospital on January 25, 1983 with a chief complaint of nausea during meals which started in the last autumn. Her past history was unremarkable. Physical examination was normal. Laboratory tests were within normal limits. ECG showed mild myocardial ischemia. Upper gastrointestinal x-ray series were done on January 28, 1983 and revealed a small elevated lesion at the posterior wall of the upper gastric body and multiple polypoid lesions at the gastric antrum. The lesion at the upper gastric body was well-demarcated and its surface was slightly uneven with central depression. It was suspected of early gastric cancer, type Ⅱa. On the other hand, most of multiple polypoid lesions of the antrum had smooth surface with central depression, and were diagnosed as gastritis verrucosa.

Endoscopic examination with biopsy was performed on February 4, 1983. Dye-spraying method by indigocarmine was also done at the same time, and made it possible to obtain the better visualization of the elevated lesion at the posterior wall of the upper body. It was slightly discolored and lobular. Its surface was slightly uneven with a central depression. Early cancer, type Ⅱa, was suspected, and biopsy confirmed malignancy (Group Ⅴ). Another lesions at the antrum consisted of two different morphology on the endoscopic findings. One was reddish and smooth with or without central depression and the other, smaller and discolored without central depression. The former was diagnosed as gastritis verrucosa and the latter as intestinal metaplasia. Biopsy from one of the reddish polypoid lesions at the greater curvature revealed normal gastric mucosa (Group Ⅰ).

学会印象記

本年の米国消化器病週間(DDW)に参加して

著者: 丸山正隆

ページ範囲:P.1341 - P.1342

 アメリカの消化器病学会(AGA)は,世界の消化器病学会の中でもレベルの高い学会の1つとされている.今年は5月23~25日,Washington D.C.のSheraton Hotelを中心に行われた.これはアメリカの消化器関係の4つの学会(ASGE,AASLD,GRG,SSAT)と合同で行われた.これに卒後教育コースを併せるとちょうど1週間になるので,これをdigestive disease week(DDW)と言っている.全部聴こうとすれば1週問拘束されるが,日本のようにあちこちで1年の間に何回も同じような学会が行われるのとはだいぶ違う.殊に学会の主体は23~25日の3日間に集中していて,これに参加すれば消化器病学全般の大体の動向をつかむに十分であるし,アメリカの消化器関係の研究者は,これに向かって1年間をフルに充実して研究活動に没頭できるわけで,こんなことがアメリカの消化器病学会を世界でもレベルの高いものにしている所以であろうか.

 とは言っても,学会演題数は全部で650題とむしろ少なく,このうち70%以上の475題がポスターセッションとなっている点は注目に値する.口演は午前中はPlenary session1つで,午後はsymposium,research forumが2~4会場で行われるぐらいで,ほかにscientific presentationが1つあるだけであり,比較的集中して聴くことができるようになっている.口演時間は1題15分前後,ポスターは3時間ずつ2交代で,全体に討論が十分に行われるように工夫されている.シンポジウムは全部で7つで,消化管神経系に関する研究の最近の進歩,Crolm病術後再発のrisk factor,加齢の問題,消化管運動に対する中枢および末梢神経の機能,VIPと消化管運動機能に関してなど,いずれも内容の明確なもので,ほかにclinical symposiumとしてウイルス性肝炎の診断と予防と共にgay bowel syndromeといった極めて新しい疾患が取り上げられていた.英語の苦手な私はあまり熱心な聴講者ではなかったが,いずれもまとまった1つのストーリーになるように内容が組み立てられているのにも感心させられた.特別講演も幾つかあり,この中に虎の門病院の秋山洋先生の“食道癌予術の発展”と題した講演があった.

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欧文目次

ページ範囲:P.1253 - P.1253

書評「平静の心―オスラー博士講演集」

著者: 吉利和

ページ範囲:P.1278 - P.1278

 この本の初めに,訳者の日野原先生が書いておられるように,この本をいきなり初めから読み出すと,なかなか難しくて,近寄りがたいという感じがする.そこで私も,先生のお勧めのように,巻末に載っている先生の一文「ウィリアム・オスラー卿の生涯とその業績ならびに思想について」から読み始め,Oslerの生涯,その人間,業績などの概略を頭に入れてから,本文に入ることにした.この際,日野原先生が日本医学教育学会で,多数のスライドを使って話されたOslerの生涯と思想が大いに役に立った.

 私の学生時代から医局時代は,日本の医学界はドイツ医学全盛時代で,内科の本と言えば,Mering,Brugsch,Strumpel,そして新しいBergmannの本を専ら学んでいた.しかし私の恩師柿沼先生は,Bergmannの教科書の優秀性を主張されながら,他方ドイツ流の体系的,理論的医学のみでは,医師としては物足りないと言われ,当時はあまり水準が高いと思われなかったアメリカのものに誠に捨てがたいいい面があると言われ,OslerのPrinciples and Practice of Medicineという本の名を挙げられた.日野原先生の文によると,この本の初版は1892年であるが,私が早速入手したものが何年版であったのか失念した.1949年第16版が出たというから,私の読んだのは,これに近いものであっただろう.戦時中上海のものも入手して,粗末な製本に苦しみながら読んだ記憶がある.

書評「小児の消化管内視鏡検査法」

著者: 竹本忠良

ページ範囲:P.1322 - P.1322

 小児に対する消化管内視鏡検査の気運だけは完全に成熟した.それを正しく反映する証拠の1っが,このところ相次いだ小児の消化管内視鏡検査法の本の出版である.いま,私の机上にも,並木正義教授が編集された「小児の消化管内視鏡検査法の実際」(医学図書出版)と,熊澤博久助教授の著書「小児消化管内視鏡検査の実際」(金原出版)とがある.

 それに,この書評で取り上げる多田正大博士と川井啓市教授の著書「小児の消化管内視鏡検査法」(医学書院)が加わった.これらの3冊の本を読んで,小児の消化管内視鏡診断学および内視鏡治療学の基本が確立したことがよく理解できる.3冊の本の著者ないし編集者とも,わが国の小児内視鏡検査のパイオニアであり,多年にわたって,この領域の展開に,文字どおり心血を注がれた方々である.

編集後記

著者: 中村恭一

ページ範囲:P.1354 - P.1354

 日本では,最近,Crohn病が増加傾向にあるようである.Crohn病は一般的に,その典型的とされている病理形態を呈するようになってはじめて診断される揚合が多く,そのときは既に2~8年を経過した慢性状態である.それは,Crohn病の発病初期あるいは急性期の臨床像が非特異的あるいは不明確であるからである.

 本号の特集“Crohn病の診断”の目的は,Crohn病の早期診断をいかにするか,という非常に難しい問題を正面から取り上げたものである.座談会の所にみられる多くの表は多数の施設の協力によるものであって,それからCrohn病の臨床像の一般的な傾向を知ることができ,それは貴重な資料である.

基本情報

胃と腸

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1219

印刷版ISSN 0536-2180

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