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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻3号

1983年03月発行

文献概要

Coffee Break

膵癌早期発見のきっかけ (2)

著者: 高木国夫1

所属機関: 1癌研病院外科

ページ範囲:P.284 - P.284

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 上腹部愁訴例とアミラーゼ値をチェックし,高値例にERCPで早期膵癌を引き続き発見しえたことは,膵癌の早期発見のスクリーニングにアミラーゼ値のチェックが有効であったことを物語っています.上腹部の激痛と共に,アミラーゼ値の著明な上昇は,急性膵炎を疑いますが,アミラーゼ値の軽度上昇は,臨床的に,しばしば経験し,ただ単に軽症の膵炎としてかたずけてしまい,ERCPで膵の状態を調べることは,まず考えていないことでしょう.われわれが膵癌の早期発見のためのプロジェクトとして,アミラーゼ値の上昇例に積極的にERCPを行った結果は前回に書きました.胃癌の早期発見では,無症状例に早期胃癌が見出され,患者がどうして手術する必要があるか,なかなか納得しないことがあることは,現今ではまれでなく,常識になっています.膵癌の早期診断でも,10kgから15kgもの体重減少を示し腰痛があって悪液質に近い状態で発見される症例が多い中で,軽い上腹痛や胃部重圧感を訴える程度で,アミラーゼ値がわずかに高い症例にERCPを行って早期膵癌が発見されています.ERCPを行う前には,検査医は夢にも思っていなかったことで早期胃癌と同様なことが,早期膵癌でも言えるものです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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