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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻4号

1983年04月発行

文献概要

Coffee Break

膵癌早期発見のきっかけ (3)

著者: 高木国夫1

所属機関: 1癌研病院外科

ページ範囲:P.379 - P.379

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 早期膵癌の発見のきっかけがアミラーゼ高値であったものが1978年から1981年までの4年間に6例になりました.6例中3例はアミラーゼ値が正常範囲より軽度上昇してたものです.アミラーゼ値についてよく質問されます.アミラーゼ高値とは,正常値からどのくらい高かったものですか?高値が持続的ですか?間歇的ですか?とアミラーゼ値の消長について,何か特徴的なものはないか,あれば良いという考え方に立っているものと思います.私はそういう質問には,とにかく正常値から一度でも上がったものは全部ERCPを行うべきであると極端なことを言っています.なぜかと言いますと,世界で血眼になって早期膵癌を探していて見付からないものを,尋常な方法で見付かるわけがないでしょう.全く極端なことだと思われるようなことを私どもは4年間やって見付け出してきたわけであって,やはり胃癌の早期発見と同様に,ERCPの検査をできるかぎり幅広く,多く行うことに通じています.

 このような考え方の上に立って,先ほどのアミラーゼ高値に関して,高値例に全部ERCPをという答になったわけです.ERCPを行っている先生は“アミラーゼ高値例全部にERCPはとても無理だ”とよく言われます.ERCPを全部にできないなら,中途半端なら,やらないほうが良いし,膵癌の早期発見はあきらめるべきでしょう.全部になんとかERCPをやろうと努力して,初めて目的の早期膵癌を手中にすることができるものです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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