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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻4号

1983年04月発行

文献概要

今月の主題 急性腸炎(2)―主として感染性腸炎 主題症例

アニサキス幼虫による急性腸炎

著者: 石倉肇1 菊地由生子2 石倉浩2

所属機関: 1雷電温泉病院 2北海道大学医学部第1病理

ページ範囲:P.393 - P.397

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 van Thiel(1960)によって発見命名されたanisakiasisは比較的新しい寄生虫性疾患で,larva migransという人獣共通疾患に属することは周知のとおりであり,本邦では1964年浅見の初報告以来急速に研究が進み,その研究は世界的水準を超え,国内普及も高度で発症数も各国の症例数をはるかに凌駕した.この疾患は,他の従来の寄生虫症と異なり,parasiteであるAnisakislarvaeが人体内で発育せず,幼虫からみて人体はゆきどまり宿主であるところに特徴がある.一般感染症でも同じであるが,特に寄生虫症ではhost parasite relationshipを考慮すべきで,このことをアニサキス症で考えると,幼虫の持つeosinophil chemotactic factorと,感染宿主(人体)の生化学的免疫病理学的生体反応との交錯した像として病態が現れる.

 さて,従来のわれわれの多くの研究でも明瞭であるが,アニサキス症は胃アニサキス症と腸アニサキス症に分けられ,両者は更に激症型(fulminant form;急性)と緩和型(mild form;慢性)とに分けられる.今回は本特集の趣旨に沿って“急性腸炎”のカテゴリーに入りうる腸アニサキス症激症型の症例をもとに,その臨床所見・診断法は概説し,病理組織学的所見をやや詳述して,ほかの特異性腸炎と異なる特徴的所見について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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