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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻6号

1983年06月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌診断の問題点(1)―良性病変と鑑別困難な早期癌 主題

良性病変と鑑別困難な陥凹型早期胃癌の診断―内視鏡の立場から

著者: 早川和雄1 山田直行1 小川高伴2 福地創太郎1 星原芳雄3

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2虎の門病院内視鏡室 3東京大学医学部物療内科

ページ範囲:P.585 - P.590

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 近年早期胃癌診断学の発達と共に,微小癌やⅡb病変のような従来診断困難であった微細病変の診断に関心が集まっている.最近当院でも古典的とも言うべき典型的な早期胃癌の相対的頻度は減少し,微小癌や類似Ⅱb病変,あるいは良性潰瘍と鑑別困難な症例の頻度が増加している.もちろん,早期胃癌の肉眼形態が時代と共に変貌したわけではない.以前には,見落とされたり注目されなかった病変が見出され,診断することが可能になったわけであろう.

 しかし飜って考えれば,現在診断されている微細病変は,肉眼的に識別されやすい,むしろ特殊な例が診断されているとも言えるかもしれない.胃切除標本の病理組織学的検索で,術前に見逃されていた早期胃癌の合併を見出す苦い経験から考えても,臨床的に多くの微小癌が見逃され,また良性の潰瘍や胃炎性変化とみなされている病変の中に,良性と紛らわしい早期胃癌が隠れている可能性を考えねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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