icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻6号

1983年06月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌診断の問題点(1)―良性病変と鑑別困難な早期癌 主題

Ⅱb病変と近傍非癌粘膜との相異点について―X線診断の立場から

著者: 政信太郎1 肥後公彦1 日高覚1 吉井八郎1 西俣嘉人1 橋本修治1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科

ページ範囲:P.591 - P.601

文献購入ページに移動
 1971年4月第13回日本内視鏡学会総会で初めてⅡbについて臨床的立場でシンポジウムが行われた.打ち合わせで各施設から多くの症例が提示されたが,Ⅱbの定義を実際各症例にあてはめてみると,いろいろな問題が出てきた.これをある程度整理するために,この定義に補則が付けられた.詳細は省くが,結局これらを典型Ⅱb,類似Ⅱb,随伴Ⅱbに分けて検討することになった.著者らは随伴Ⅱbあるいは類似Ⅱbの摘出標本レントゲノグラム(以下“摘出標本R-G”と略す)を用いて,X線像,特にareaの形態,溝による粘膜模様の変化についてretrospectiveに分析して報告した.

 われわれはこのとき得られた成績をもとに,今日まで単独Ⅱbを術前に発見するよう努めてきた.当初は小彎上にあるものだけがcontourの異常だけを手掛かりに発見された.その後,熊倉らによるX線装置の改良やバリウムの改善によって,微細粘膜模様の描写能は著しく向上し,正面像によってかなり微細な模様まで描写されるようになってきた.白壁はシンポジウム後に行われた座談会で将来2cmぐらいのⅡbは診断可能になるだろうと述べているが,われわれの教室においても次第にこれに近いⅡb症例が発見されてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?