文献詳細
文献概要
研究
胃腺癌の三次元形態学―構造異型(SAT)の解明を目的として
著者: 高橋徹1 岩間憲行1
所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所病理学部門
ページ範囲:P.633 - P.639
文献購入ページに移動 癌の組織診を行う際に,最も重要な判断根拠が細胞異型(CAT)であることは言うまでもないが,細胞個々の異常とは別に,癌においては,癌細胞の空間的配列にも異常が生じる.例えば腺癌ではbizarreな腺管,いわゆる異型腺管像が現れてくる(Fig. 1).この所見は“構造異型(SAT)”として診断上のウエイトを与えられており,事実,組織診に当たっては,われわれは半ば無意識のうちに構築パターンの異常を探索していることを否定できない.特に高分化型腺管腺癌・境界領域病変などでは,判断は構造異型の程度に大幅に依存する.ところが,細胞異型に関してはおびただしい研究が行われたのに対して,構造異型の解析は村上,太田ら以外にはほとんど手が付けられておらず,判断も概ね直観に頼らざるを得ないのが現状である.そこで今回,癌における構築異常がどのようなものか,その三次元的実体を明らかにすべく,胃腺癌の代表的な組織型を対象として連続切片からの復構を試みた.その結果を組織像に還元して再評価を行い,診断上留意すべき像の特徴を把握するよう努めた.
掲載誌情報