icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻7号

1983年07月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎―治療と経過を中心に 主題

内科からみた潰瘍性大腸炎の手術適応

著者: 江頭芳樹1 八尾恒良2 渕上忠彦1 有馬純孝3 伊藤英明4

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学医学部第1内科 3福岡大学医学部第1外科 4九州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.693 - P.702

文献購入ページに移動
 潰瘍性大腸炎の治療は重大な合併症のないかぎり保存的に行うのが原則であるが,内科的治療が奏効しない難治例に対しては,ためらうことなく外科治療を行うこともまた必要である.欧米においては,最近10年間に激症例,重症例に対して手術が行われる頻度が増加しており,またより早期に行われる傾向にあるという1).これは手術適応と手術時期がしだいに明確にされつつあること,完全静脈栄養(total parenteral nutrition,以下TPN)などによって術前術後管理が向上したこと,外科技術の向上,より機能的な人工肛門の開発などによるものと考えられる1)

 本邦では本症が外科的手術の対象となる頻度は報告によって大きな差はあるが,20~30%前後とされている2)3).その中で内科医にとって最も難しい問題は,保存的療法で十分な効果を上げえない場合,どの時点で手術に踏み切るかということであり,その点に関して検討された報告も散見される4)5).基本的には効果的かつ十分な治療を行って,それが無効であると判明するまでは手術すべきでなく,また無効であるにもかかわらず漫然と長期にわたって内科的治療を続けてはならない,と言えよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?