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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻8号

1983年08月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌 主題症例 B 内視鏡的ポリペクトミー後に腸切除した例

14.sm癌のポリペクトミー後1年4ヵ月で肝転移を認めた1例

著者: 佐々木喬敏1 丸山雅一1 高橋孝2 高木国夫2 加藤洋3

所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会付属病院病理

ページ範囲:P.832 - P.833

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 〔症例〕40歳,女性,会社員.家族歴に特記事項なし.36歳時卵巣腫瘍にて卵巣・子宮摘除術を受けている.1978年7月初旬肛門出血を認め受診.注腸X線検査で肛門より18cmのS状結腸に大きさ2cmの亜有茎性ポリープを認め(Fig. 1a),内視鏡像(Fig. 2a)は表面比較的平滑で広基性のポリープであった.ポリペクトミー標本(R-230337)の病理組織所見はadenocarcinoma papillotubulare with muconodular patternで,検索範囲で切除断端癌陰性であるが(Fig. 3),粘膜下層のごく近くまで粘液産生のある癌の浸潤がみられた(Fig. 4).ポリペクトミー14日後のX線像では小潰瘍形成のみであった(Fig. 1b).5ヵ月後の内視鏡所見では局所に再発の徴候なく,ポリペクトミー部位は粘膜集中を伴う潰瘍瘢痕の像を呈していた(Fig. 2b).生検組織所見(R-230463)(Fig. 5)では一部に粘液を含む肉芽組織が認められるが,明らかな癌細胞は認められなかった.しかし,この生検所見から粘液産生を伴う癌の浸潤も考えられることは,ポリペクトミー標本の組織所見とあいまって慎重な経過観察を要した症例であったが,1979年11月肛門出血が出現するまで来院はなかった.

 1979年11月26日ポリペクトミーの1年4カ月後に行った内視鏡検査(Fig. 2c)ではS状結腸のポリペクトミー部位に一致して1/3周を占めるBorrmann 1型の腫瘍を認め局所再発と診断した.生検組織所見はadenocarcinoma papillotubulareであった.注腸X線検査所見(Fig. 1c)ではS状結腸に大きな腫瘤陰影を認めた.同年12月24日S状結腸切除術を行った.肝転移は左・右葉共に2個ずつ認め,いずれも拇指頭大であった.切除標本(0-17761)(Fig. 6)で腫瘍は4.0×3.5cm,Borrmann 1型で,表面は絨毛状,膠様を呈し,一部扁平な部分もみられる.組織標本のルーペ像(Fig. 7)で深部にはmuconodular patternを示す部位があり,癌は漿膜にまで浸潤しssβ,脈管侵襲ssV(+)も著明である.Fig. 8は拡大組織像で粘液産生の強い分化型腺癌である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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