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文献詳細

雑誌文献

胃と腸18巻9号

1983年09月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌診断の問題点(2)―診断の現状 主題

早期胃癌における生検診断過程の実態

著者: 鈴木茂1 斉藤早苗1 勝呂衛1 長谷川利弘1 鈴木博孝1 遠藤光夫1 丸山正隆2 黒川きみえ2

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター外科 2東京女子医科大学消化器病センター内科

ページ範囲:P.943 - P.948

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 生検診断能を客観的に評価することは極めて難しい.なぜならば,生検採取された標本に癌が証明されなければ,その病変は癌と診断されないことが多いからである.そこで生検診断を云々する場合には,勢い診断された側からの評価,つまり癌と診断された症例を中心とした一方的な評価になってしまい,真の生検診断能をみるという立場からすると,いかにも不十分な感をまぬがれないのである.今回,著者らはこの点を十分考慮しながら,早期胃癌における生検診断過程の実態を,まず病巣の形態別に胃内各部位における一般的な生検診断成績から分析し,次に,生検診断が特に重要となるⅡb型(以下Ⅱb)や微小胃癌の診断の現状をみることで,この実態に少しでも迫ってみようと思う.

 胃生検診断の問題点

 生検組織片を採取する行為において,何よりも基本となるものは,生検部位targetの認識であろう.言い換えれば,1つの粘膜変化を見付けてその変化に対して狙撃生検をしようとする行動ができるかどうかである.これは内視鏡器種および生検装置の性能を語る以前の問題であろう.より多くの早期胃癌,とりわけⅡbやⅢ型,微小癌(≦5mm)といったものを発見するためには,この基本認識が特に重要であることは論を待たない.だから内視鏡検査に従事する医師は,常にこれをより高度のレベルで維持することが何よりも大切である.そのうえで,生検診断そのものが現在当面している個々の問題点を考察する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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