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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻1号

1984年01月発行

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海外文献紹介「胆石の家族性頻度の上昇」 フリーアクセス

著者: 小林世美1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.34 - P.34

文献概要

 An increased familial frequency of gallstones: T Gilat, C Feldman, Z Halpern, M Dan, S Bar-Meir (Gastroenterology 84: 243-246, 1983)

 胆石症は先進国で大きな公衆衛生上の問題になっている.スウェーデンやチェコでは,胆石の頻度は20歳以上の男子の30%,女子の50%に認められたと報告され,近年その頻度の急上昇は注目されている.しかし,胆石の家族性因子については,ほとんど研究がない.著者らは胆石がX線法,手術,剖検のどれかで証明された患者の1親等の家族171名と性,年齢,出身地などをマッチさせた200名の対照群との間で胆石の頻度を比較した.まず経口胆囊造影法で検査され,写らなかった場合は経静脈造影を行い,それでも写らない場合は胆石があるものとみなした.同時に血糖,血清コレステロール値が測定された.その結果,胆石は胆石家系の20.5%,対照群の9%に発見された.男女別では,胆石家系では女子で22.8%,男子で16.7%,対照群では,女子10.3%,男子8%に認められた.これらは有意の差であった.リスク因子と言われる高年齢,肥満,血糖値,コレステロール値などは,対照群でより頻度が高かった.なかでも統計学的に有意な因子として年齢,女性,家族性,そして肥満が認められた.1937年にKörnerは,既に胆石の頻度が胆石家系では非胆石家系の約5倍であることを報告した,Jacksonらは胆石の手術を受けた連続100人の患者のうち33人に両親の1人に胆石を認めている.また,配偶者より兄弟に明らかに高い頻度をみた.胆石患者の配偶者と非胆石患者の配偶者間では頻度に有意の差を認めなかった.胆石家系で胆石の頻度上昇の理由の1つに,家族性の食事習慣が言われるが,ある研究で配偶者での頻度が高くないことから懐疑的であるが,先進国でその頻度が急上昇していることは,環境因子としての食事の関連を示唆している.遺伝的に感受性の高い人には,食事などの環境因子が特に影響しやすいのではないか.遺伝的因子と環境因子が共に作用していると思われる.今後超音波検査を用いて更に胆石の家族研究が進められるであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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