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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻1号

1984年01月発行

文献概要

Coffee Break

実験膵癌とアミラーゼ値―膵癌の早期発見に関連して

著者: 高木国夫1

所属機関: 1癌研病院外科

ページ範囲:P.34 - P.34

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 このCoffee Breakの欄に,昨年(1983年)の1月号から7月号まで,膵癌の早期発見に関して,普段思っていることを中心に書きました.膵癌の早期発見のスクリーニングの1つに,アミラーゼ値が有用であったことを経験していますが,臨床経験の中でわれわれが考えていた事柄が,実験膵癌では果たしてどうなのか,常々気にかかっていました.

 多くの動物に発生する膵癌は,腺房細胞癌が多いが,この腺房細胞癌はヒトではまれで,最近,ヒトに多く認められる膵管上皮由来の腺癌と同様の腺癌が,nitrosoamineの種々の誘導体によってハムスターに発生することが報告されています.nitrosoamineの誘導体の中で,N-nitrosoamine(2-oxopropy1)-amine(BOP)による実験膵癌は,膵に選択的に膵管由来の腺癌が高率に発生しますが,この実験膵癌とアミラーゼ値との関連が高橋道人氏らにより報告されていますGan 72: 615-619, 1981).実験膵癌の発生と血中および尿中の膵性アミラーゼを経時的に検討した結果は,腫瘍の結節が小さい早期では膵性アミラーゼ値は血中および尿中において著しく上昇しており,末期において,腫瘍の結節が大きくなると膵性アミラーゼ値は低下し,正常値に近くなることが判明し,膵癌の発生初期に非特異的な限局性膵炎が必発してくる事実に注目しています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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