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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻10号

1984年10月発行

文献概要

今月の主題 胃生検の問題点 主題

胃癌生検の診断成績

著者: 早川和雄1 橋本光代1 吉田行哉1 山田直行1 福地創太郎1 星原芳雄2

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2東京大学医学部物療内科

ページ範囲:P.1087 - P.1096

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要旨 1964年より1983年までの20年間の当院における胃生検の診断成績を明らかにし,胃癌の偽陰性例を中心に,胃生検の問題点を検討した.延べ生検回数は,上部消化管内視鏡検査総数の16.7%であった.生検を行った8,351病変のうち,早期胃癌は733病変(8.8%)で,進行胃癌は1,384病変(16.6%)である.早期癌の初回生検癌陰性例は14病変(1.9%),GroupⅢの診断は22病変(3.0%)で併せて偽陰性率は4.9%である.初回生検でGroupⅢと診断された病変の91%が隆起型の病変で,生検組織学的には癌と確診することが困難であるが,切除標本における全体の組織像からみると,高度に分化した癌と考えられるものである.GroupⅢ以外の偽陰性例ではⅡc型が9例と最も多く,陥凹型の未分化型癌で,病巣内の癌の分布が偏在したり,癌の浸潤が疎である場合,偽陰性例となることがあり,Ⅱc内面の種々の部位からの生検が必要である.進行胃癌の偽陰性率は4.3%でBorrmann 4型癌が多かった.胃生検により胃癌を確実に診断するためには,病変の肉眼的形態を内視鏡的に適確に把握し,正確な狙撃生検を行うことが重要であり,正確な内視鏡診断が生検の偽陰性診断を少なくするものと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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