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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻10号

1984年10月発行

文献概要

症例

口側回腸に輪状潰瘍を合併したMeckel憩室の1例

著者: 嶋倉勝秀1 上野一也1 白井忠1 山口孝太郎1 古田精市1 塩原順四郎2 山田外記2 斉藤卓雄2

所属機関: 1信州大学医学部第2内科 2昭和伊南総合病院外科

ページ範囲:P.1147 - P.1152

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要旨 患者は57歳,女性.赤黒い血便を主訴として来院上部消化管内視鏡検査,大腸のX線および内視鏡検査では異常を認めず,小腸からの出血を疑い小腸X線検査を施行した.経口小腸造影および有管法による小腸二重造影にて,回盲弁より口側約100cmの回腸に憩室様突出を伴う囊状拡張部,その肛側に狭窄,口側に拡張不全を伴う病変を認めた.99mTcO4-シンチグラフィーでは異常は認めなかった.Meckel憩室の術前診断のもとに回腸部分切除術を施行した.回盲弁より口側約80cmに憩室を伴う囊状に拡張した回腸を認め,同部を含めて近傍回腸は腸間膜および後腹膜に高度に癒着していた.切除標本では憩室は胡桃大,病変部の肛側狭窄部は癒着による単なる捻れであり,口側拡張不全部には全周性の輪状潰瘍を認めた.組織学的には憩室は筋層を有する真性憩室で,異所性組織の迷入は認めず,輪状潰瘍はUl-Ⅱの非特異性単純潰瘍であった.Meckel憩室の診断における種々の検査法,とりわけ小腸X線検査の有用性について述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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