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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻3号

1984年03月発行

今月の主題 Crohn病の経過

主題

Crohn病手術後の経過―再発の問題を中心として

著者: 有馬純孝1 伊藤英明2 八尾恒良3 渕上忠彦4 内田博1 二見喜太郎1 鳥谷裕1

所属機関: 1福岡大学医学部第1外科 2九州大学医学部第1外科 3福岡大学医学部第1内科 4九州大学医学部第2内科

ページ範囲:P.277 - P.285

文献概要

要旨 Crohn病腸切除35症例について検討を加えた.性別では男性に,年齢では24歳以下の若年者に多くみられ,罹患部位は小腸型15例,小腸・大腸型16例,大腸型4例であった.手術適応としては腸管狭窄14例,瘻孔形成12例,内科的治療に抵抗7例であり,術式では回盲部を同時に切除する術式が76.5%に施行された.35例中,再手術(外科的再発)は13例(37.1%)であり,これらについて男女別,年齢別(24歳以下,25歳以上),罹患部位別に,また,術中漿膜所見で10cm以上離して切除した群と,そうでない群に分けて再発との関係を検討したが,有意の差はみられなかった.X線学的再発については,術後X線学的に追跡しえた23例を対象とし,14例(60.9%)に再発を認め,その再発までの期間は平均17.9カ月であった.これを同時期におけるCRP,血沈値などの炎症所見と比較すると,3例の不明例を除く11例中7例(63.6%)に陽性所見がみられた.X線学的非再発例では9例とも炎症所見陰性であった.術中内視鏡(17例)で残存病変なしとした8例では,5例(62.5%)にX線学的に再発が確認され,その再発までの期間は平均6.2カ月であった.残存病変の有無と再発に関しても,有意の差はみられず,内視鏡学的に観察して病変部をすべて切除する,いわゆる広範切除術は意味のないことだと思われた.術後の生活状況については,高い再発率を示したにもかかわらず,約90%の症例は良好な社会生活を営んでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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