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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻3号

1984年03月発行

文献概要

今月の主題 Crohn病の経過 主題

術前の治療法別にみたCrohn病の病理形態像

著者: 岩下明徳1 八尾恒良2 渡辺英伸3 重松明博4

所属機関: 1松山赤十字病院検査部病理 2福岡大学医学部第1内科 3新潟大学医学部第1病理 4九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.287 - P.308

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要旨 Crohn病57例の68手術材料を,術前の内科的治療法により無治療群,栄養療法群,薬物療法群,栄養療法+薬物療法群および特殊群の5群に分け,各群の病理形態像を比較検討した.各群を通じて,肉眼的には腸間膜付着部に沿う縦走潰瘍,敷石状外観,密集性炎症性ポリポージス,瘻孔が,一方,組織学的にはリンパ球集蔟巣を主とする全層性炎症,類上皮細胞性肉芽腫,裂溝が基本的かつ重要な所見であった.栄養療法群と栄養療法+薬物療法群で,潰瘍の治癒率は高く,アフタ様潰瘍や裂溝も減少していた.敷石状外観も上記2者群で少なかった.しかし,炎症性ポリポージスは各群間で大差がなかった.肉芽腫は栄養療法群の1例と栄養療法+薬物療法群の2例のみで消失していた.また,栄養療法群では肉芽腫の数が少ない例が多かった.肉芽腫の大きさは無治療群に比し治療群で全般に小さい傾向があり,後者群ではしばしば萎縮状肉芽腫を認めた.Schaumann体は栄養療法群と栄養療法+薬物療法群で出現率が高い.全層性炎症と水腫も上記2者群で著明に軽減していたが,線維化は各群の全例に認められ,その程度に差はない.リンパ管炎も栄養療法群と栄養療法+薬物療法群で少ない.腸壁の肥厚はほぼ全例に認めたが,上記2者群では高度のものがない.狭窄は各群間に著明な差はない.以上,本症の形態像も治療により多少変遷することを指摘し,併せて栄養療法の有効性を論述した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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