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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻3号

1984年03月発行

文献概要

今月の主題 Crohn病の経過 主題症例 Crohn病の経過観察例―経過観察によってCrohn病が否定された症例

大腸Crohn病と鑑別が困難であった区域型潰瘍性大腸炎の1例

著者: 瀬崎徳久1 狩谷淳1 林学1 間山素行1 秡川正嗣1 若林芳敏1 田沢浩1

所属機関: 1千葉県がんセンター放射線診断部

ページ範囲:P.309 - P.312

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要旨 23歳の男性,主訴として粘血下痢便,発熱.約2年余前の発病以来,他医にて痔核および大腸Crohn病と診断され治療を受けていた.注腸造影ではS状結腸に不整の浅い潰瘍ならびに狭小化を,下行結腸上部辺縁には線状様潰瘍および炎症性ポリープを,上行結腸下部から盲腸にかけては辺縁不整と多数の小バリウムフレックを認めた.入院後,徐々にテネスムスおよび高熱が出現.これらの症状はCrohn病や大腸結核ではあまりみられないので,X線所見も加味し,区域型潰瘍性大腸炎を疑った.内科的療法が奏効せず,入院後約1カ月して手術(全結腸切除術ならびに回腸直腸吻合術)を施行した.切除標本では,主病変は盲腸から上行結腸下端,脾彎曲部付近,全S状結腸から直腸の3カ所に存在し,いずれも不整形の浅い潰瘍と炎症性ポリープが,全周性かつ連続性に認められた.組織学的には,Ul-Ⅰ~Ⅱであり,全層性の炎症やfissuring ulcerは認めなかった.crypt abscessは多数認められた.これらの肉眼ならびに組織学的所見から本症例を区域型潰瘍性大腸炎と診断した.術後4年経過した現在,患者は健康に社会復帰している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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