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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻3号

1984年03月発行

文献概要

今月の主題 Crohn病の経過 主題症例 Crohn病の経過観察例―術後長期観察している症例

術後11年間経過観察を続けているCrohn病の1例

著者: 富沢峰雄1 成沢林太郎2

所属機関: 1新潟大学医学部第3内科 2新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.337 - P.340

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要旨 53歳,女性.1972年1月,右下腹部痛にて発症し,同年9月イレウス症状のため開腹.小腸潰瘍として約80cmの回腸切除を受けた.3年後に再発を認め,術後11年間保存的に経過観察を続けているCrohn病症例である.経過の要点は,①再発部位は腸切除吻合部より肛門側回腸であり,縦走潰瘍や敷石状外観所見のほかに浅い不整形潰瘍や輪状潰瘍も混在して認められた.②CRP値や白血球数などの変動が少なく,病勢把握にはX線や内視鏡による形態観察が必要であった.③1979年以後は自覚症状の消失は認められず,形態観察上も病変はほとんど寛解を認めない.④外来通院の状態では栄養状態の悪化や貧血が徐々に進行するため,ときに入院による強制栄養を必要とした.⑤病変部には狭窄性変化が認められ,その口側腸管の拡張が徐々に著明となっており,再手術の可能性も示唆されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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