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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻4号

1984年04月発行

文献概要

今月の主題 肝内結石症―最近の知見をめぐって 主題症例

原発性コレステロール肝内結石症の1例

著者: 松代隆1 佐々木幸則1 増田高行2

所属機関: 1東北労災病院外科 2東北大学医学部第2病理

ページ範囲:P.445 - P.448

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要旨 患者は45歳男性で,主訴は心窩部痛,発熱,嘔吐.ERCPにて肝外胆管の拡張は認めなかったが,胆囊内に1個の胆石と肝左葉外下降枝に充満した多数の胆石像を認めた.血清脂質は正常であった.胆囊摘出術,総胆管切開ドレナージ,肝外側区域切除術を施行した.摘出胆石は胆囊結石は混成石,肝内結石は混合石であった.肝の組織学的検索では外下降枝は著しく蛇行し,胆管周囲には軽度の慢性炎症を認めたにすぎなかった.胆囊胆汁の脂質成分はコレステロール2.1mmol/l,燐脂質8.3mmol/l,総胆汁酸69.5mmol/lで催石指数は0.3であった.総胆管胆汁の催石指数も0.4であった.本症例の胆石の成因は従来のコレステロール溶存能に関する説明では理解できず,コレステロール結石生成の複雑さを考えさせた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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