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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻5号

1984年05月発行

文献概要

今月の主題 受容体拮抗薬の位置づけ 主題

ヒスタミンH2受容体拮抗薬の用い方のコツ

著者: 三崎文夫1 岩破淳郎1 島田隆男1 川井啓市2

所属機関: 1鐘紡病院消化器内科 2京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.507 - P.513

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要旨 H2レセプター拮抗薬は強力な胃酸分泌抑制作用を持ち,従来の抗潰瘍剤に比して消化性潰瘍の治癒を促進する.しかし,このH2レセプター拮抗薬も万能ではなく,実際の潰瘍治療に際しては潰瘍の自然史や消化管の病態生理を考慮して薬剤を決定するのが理想的である.十二指腸潰瘍は高齢者においても酸分泌が高く,しかも酸分泌が高いほど再発も起こりやすい傾向がある.したがってH2レセプター拮抗薬の適応としては十二指腸潰瘍が最適である.一方,胃体部の潰瘍ではH2レセプター拮抗薬のほかに組織修復促進作用や胃粘膜保護作用のある薬剤との併用が望まれる.潰瘍の治療では患者の生活態度も大きな影響を持つが,最近,治療中の喫煙が薬剤の効果を減少させ,治癒を遅らせるとの報告が幾つかみられる.潰瘍の自然史の特徴の1つは治癒と再発を繰り返すことであり,潰瘍治療の最終目標は自然史を変化させて,治癒と再発の鎖を断ち切ることにある.現在まで,H2レセプター拮抗薬が自然史に変化をもたらし,潰瘍を永久治癒に導くとの報告はない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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