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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻5号

1984年05月発行

文献概要

今月の主題 受容体拮抗薬の位置づけ 主題

消化性潰瘍の手術適応は変わったか―ヒスタミン H2受容体拮抗薬の位置づけ

著者: 長尾房大1 秋元博1 青木照明1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科

ページ範囲:P.549 - P.552

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要旨 従来より,消化性潰瘍に対する手術適応は出血・穿孔・狭窄など合併症潰瘍に対する絶対的適応と,難治性潰瘍すなわち非合併症潰瘍に対する相対的適応に大別され論じられている.しかし,手術適応の決定は内科的治療法の進歩あるいは消化性潰瘍の病態解明の進展などに伴い,内容的にもかなりの変遷がみられている.特に,ヒスタミンH2受容体拮抗薬という画期的な壁細胞ヒスタミン受容体遮断剤の登場により,これまでは出血などで緊急手術を余儀なくされていた症例が待期手術あるいは内科的治療にて軽快する経験が増加してきている.教室では,1979年よりH2受容体拮抗薬を使用し,これによる手術適応の変遷についてみると,絶対適応とされてきた,出血・穿孔・狭窄のうち,後2者に関しては,手術適応の考え方は変わらないが,出血に関しては,絶対的手術適応症例は減少し,相対的手術適応として,易再発性・年齢・他疾患合併などを考慮して手術適応を決定しなければならない症例が,増加してきている.一方,難治性潰瘍と言われ相対的手術適応の範疇に入っていた症例に対する手術適応は明らかに減少しているが,薬剤投与中止後の再発・再燃などや,長期投与による薬剤の影響など未知の問題も多く,今後,十分検討されていくべき問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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