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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻5号

1984年05月発行

文献概要

症例

血管撮影で興味ある所見を示したS状結腸の虚血性大腸炎の1例

著者: 佐藤薫隆1 近添拓世1 伊藤正秀1 為我井芳郎1 小松原登2

所属機関: 1佼成病院外科 2佼成病院内科

ページ範囲:P.571 - P.577

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要旨 患者は69歳主婦.突然の血便と頑固なtenesmusで入院した.バリウム注腸検査ではS状結腸口側部に管状狭窄とそれに続く肛門側にはびらんと小嚢形成の所見がみられた.内視鏡検査では狭窄部は凹凸不整の黄白苔で覆われ,肛門側では数個のびらんと小隆起,更に内腔の変形がみられた.下腸間膜動脈撮影では狭窄部に一致して①hypervascularity,②vasodilatation,③A-Vshunt,④腸管壁の肥厚,などの所見が著しかった.以上の所見から狭窄型の虚血性大腸炎と診断,S状結腸切除術が行われた.狭窄部は全周性潰瘍から成り,その肛門側には大小の浮腫状粘膜がみられた.病理組織学的には狭窄部はUl-Ⅱの潰瘍で,粘膜下層は著しい毛細血管の増生と炎症性細胞浸潤により肥厚していた.潰瘍の肛門側では多数のびらん治癒像がみられた.これらの所見は急性期から慢性期への移行像と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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