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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻5号

1984年05月発行

文献概要

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海外文献紹介「内視鏡前処置薬としてのアトロピンの有用性」

著者: 伊藤克昭1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.577 - P.577

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 Efficacy of atropine as an endoscopic premedication: EL Cattau, EJ Artnak, DO Castel, et al (Gastrointestinal Endoscopy 29: 285-288, 1983)

 この研究は,上部消化管内視鏡検査の前処置薬としてのアトロピンの有用性を再評価するために行われた.検討対象189人(検査件数196)を,二重盲検法でmeperidine(モルヒネ様の作用を有する鎮痛剤一訳者注)単独の筋注をした群と,meperidineとアトロピンO.6mgの混筋注をした群とに分けて,検査医と患者に対して行ったアンケート調査を基に有用性を検討した.検査医の評価では,アトロピン非投与群において唾液分泌量が有意に多かった(p<0.01)が,高度な蠕動運動(1分間に5回以上)の頻度には有意差を認めなかった(p<0.05).しかし,軽度の蠕動(1分間に2~3回以下)の発現率はアトロピン投与群では67.4%でアトロピン非投与群の51.5%よりも高く(P<0.05),逆に中等度の蠕動(1分間に3~5回)の発現率はアトロピン非投与群で有意に高く観察された(p<0.05)ことより,蠕動運動の頻度を総合的にみると両者の間に有意差が認められた.唾液分泌量と蠕動の状態から検査医は2/3の症例でアトロピン投与の有無を正確に言い当てた.以上のごとく,唾液分泌量と蠕動の状態が両群間で有意に異なったが,検査自体が,患者の苦痛などによって妨げられたか否かについて質問した総合評価では両群間に全く有意差はなかった.すなわち,唾液量や蠕動運動の多寡は検査自体が容易であったか否かとは全く関係がないという結果であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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