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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻6号

1984年06月発行

今月の主題 大腸腺腫症の経過と予後

主題

大腸腺腫症における大腸腺腫および随伴性病変の推移

著者: 牛尾恭輔1 志真泰夫1 石川勉1 後藤裕夫1 村松幸男1 高安賢一1 森山紀之1 松江寛人1 笹川道三1 山田達哉1 吉田茂昭2 吉森正喜2 小黒八七郎2 森谷宜晧3 北條慶一3 小山靖夫3 板橋正幸4 廣田映五4 鷲津邦雄5 市川平三郎6

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター内科 3国立がんセンター外科 4国立がんセンター病理部 5国立がんセンター頭頸部 6国立がんセンター

ページ範囲:P.609 - P.620

文献概要

要旨 1962年~1984年1月までに,国立がんセンター病院にて26家系49例(男37例,女12例)の大腸腺腫症を経験した.死亡は10例で,生存39例中11例は年齢15歳未満の小児例である.大腸病変以外の随伴性腫瘍の頻度は,顎骨内骨腫86.8%(33/38),十二指腸ポリープ71.9%(23/32),胃ポリープ56.8%(25/44),顎骨以外の骨病変(骨腫,外骨腫,骨皮質肥厚)50.0%(16/32),体表の軟部組織腫瘍(異時性を含む)27.0%(10/37),腸間膜デスモイド腫瘍13.5%(5/37),歯牙腫13.2%(5/38)であった.なお大腸癌以外の悪性腫瘍としては,胃癌2例(53歳 男,41歳 女),甲状腺癌1例(27歳 男)であった.本症における大腸腺腫,および種々の随伴性腫瘍の経過を観察した結果,以下の知見と推測が得られた.①外・中・内胚葉に由来する良性の腫瘍性病変の多くは,学童期には既に発生しており,思春期~青年期までは数の増加と大きさの増大がみられたが,それ以後は一般的にみて腫瘍の発育は止まるものと推定された.②中胚葉由来の悪性腫瘍(肉腫)の合併はまれである.③外胚葉由来で被蓋上皮が主体である上皮組織の悪性化もまれである.④内胚葉由来の組織でも,大腸,小腸,胃,甲状腺のごとく,腺上皮としての機能が主体である上皮組織の悪性化(癌腫)は多い.以上の知見から,大腸腺腫症の経過観察に際しては,内胚葉由来でかつ腺上皮と吸収上皮の性格を有する上皮組織,およびこの組織を有する器官・臓器を中心に行うことが重要であると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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