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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻6号

1984年06月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症の経過と予後 主題

家族性大腸腺腫症における胃・十二指腸病変の経過

著者: 飯田三雄1 八尾恒良2 伊藤英明3 渡辺英伸4 興梠憲男1 重松明博5 岩下明徳6

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学医学部第1内科 3九州大学医学部第1外科 4新潟大学医学部第1病理 5九州大学医学部第2病理 6松山赤十字病院検査部病理

ページ範囲:P.621 - P.638

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要旨 家族性大腸腺腫症14家系21症例の胃・十二指腸が,X線・内視鏡検査および生検によって平均5年以上経過観察された.胃底腺ポリポーシス10例の経時的変化は,増加4例,減少2例,減少→増加1例,消失→増加1例,新生1例,不変1例であった.これらの変化と大腸切除との間に明らかな関係は認められなかった.胃腺腫7例のうち5例は不変であったが,他の1例では2個の腺腫のうち1個が消失,残りの1例では腺腫の癌化が示唆された.十二指腸に単発ないし多発性の腺腫が認められた12例(対象13例中)のうち,9例は不変であったが,他の2例では部分的に軽度増加あるいは減少が観察された.更に,残りの1例では初回検査で見落とされた径17mmの球部隆起が,1年10カ月後50×30mmの進行癌に増大した.10例中4例の乳頭部に腺腫が発見されたが,その内視鏡像および生検組織像に経時的変化は認められなかった.以上の成績より,本症における胃・十二指腸病変は,大腸に比べると発育は緩徐で,癌化の頻度も低いが,今後長期生存例が増えるにつれ,上部消化管癌の発生頻度も増すことが予想され,長期間の定期的follow-upが必要であることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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