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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻6号

1984年06月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症の経過と予後 研究

大腸腺腫の組織発生―特にヒト家族性大腸腺腫症における微小腺腫の発生様式について

著者: 中村真一1 喜納勇1 甲田賢治1

所属機関: 1浜松医科大学第1病理

ページ範囲:P.701 - P.709

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要旨 ヒト大腸腺腫の組織発生について,特に微小腺腫の発生様式の解明を試みた.ヒト家族性大腸腺腫症6症例の平坦な粘膜の,微小腺腫病変を完全連続切片法を用いて観察した.その結果,腺腫は正常腺管の増殖帯から,粘膜固有層に発芽する異型上皮の増殖巣,すなわち“腺腫の芽”として最初に観察された.正常腺管上皮の上方への移動に伴って,腺腫の芽も上方に移動し,かつ増殖して,粘膜表層部で正常腺管と分離・独立して,単一腺管腺腫となる.しかし完全に分離せずに正常腺管の開口部を占拠する単一腺管腺腫も少数例観察された.この腺腫発生の過程には,増殖帯の拡大や逆転というような異常は関与していないことがわかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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