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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻7号

1984年07月発行

今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって

主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 A.隆起型

治癒切除後,腹膜播種を来し1年3ヵ月後に再発死亡したⅠ型早期胃癌の1例

著者: 宮下薫1 武藤輝一1 佐々木公一1 田中乙雄1 渡辺英伸2

所属機関: 1新潟大学医学部第1外科 2新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.787 - P.790

文献概要

要旨 体重減少(10kg/年)を主訴にした81歳の男性で,術前胃X線検査および内視鏡検査で1型早期胃癌と診断され,1982年4月9日に胃亜全摘術が施行された.肉眼所見では,小結節状凹凸のある7.0×3.0cmの隆起性病変であった.組織学的には,高分化型管状腺癌と一部に印環細胞癌と膠様腺癌がみられた.深達度はsm,脈管侵襲陽性で,転移は小彎リンパ節(No.3)に認めた.術後約4カ月ごろよりイレウス症状が時々あり,同年11月28日に手術を行い,腸間膜組織とリンパ節を生検した.それらの組織学的検査で転移を認め,リンパ管侵襲とリンパ節転移を伴う腹膜播種再発と診断された.化学療法(FT 207)にもかかわらず,Schnitzler転移,腹部腫瘤,腹水を認めるようになり,初回手術後1年3カ月で死亡した.Ⅰ型sm胃癌でありながら腹膜播種により再発死亡した.これはリンパ管侵襲とリンパ節転移を介しての腹膜播種と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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