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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻7号

1984年07月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって 主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 B.陥凹型

胃底腺粘膜領域から発生したⅡc型早期胃癌で術後2年4ヵ月に著明な骨髄転移を来した1剖検例

著者: 赤羽久昌1 蔡承熹2 川北勲2 菊池正教1 中村恭一1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2筑波大学臨床医学系消化器

ページ範囲:P.795 - P.798

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要旨 54歳,女性.胃集団検診にて巨大皺襞を指摘され,精査の結果,胃体上部前壁側大彎寄りの深達度mの未分化型Ⅱc型早期胃癌と診断された.切除胃の組織学的検索にて粘膜筋板直下のリンパ管内への癌の浸潤を1カ所認めた.また,3,4,6,9番の領域リンパ節への転移が認められた.術後経過良好にて退院,以後外来にて経過観察していたところ,術後2年ごろよりALPが上昇,骨X線検査にて広範な骨転移が認められ,化学療法が行われた.術後2年4カ月に腹部圧痛,高度の貧血を主訴に再入院となるも,DICを併発し当日死亡した.病理解剖により,骨髄に高度の癌の転移が認められ,また組織学的には食道空腸吻合部領域,肝,肺,リンパ節に転移が認められた.肝・腎の微小血栓形成と,後腹膜出血,皮膚,消化管粘膜の点状出血,血性心囊水・胸水などの出血素因が認められ,死因はDICによる出血と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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