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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻7号

1984年07月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって 主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 B.陥凹型

術後8年目に胸椎転移を来し死亡したⅡc+Ⅲ型早期胃癌の1例

著者: 高見元敞1 木村正治1 花田正人2 鼓敏光3

所属機関: 1市立豊中病院外科 2市立豊中病院病理 3市立豊中病院整形外科

ページ範囲:P.799 - P.802

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要旨 患者は63歳,女性.1969年1月に胃癌と診断され,同年3月幽門側胃切除術(Billroth Ⅰ法)が施行された.病変は胃体下部後壁にあり,線状の潰瘍瘢痕(Ul-Ⅳ)を伴うⅡc+Ⅲ型早期胃癌であった.病理組織学的には低分化腺癌・中分化型管状腺癌・印環細胞癌が混在し,浸潤は粘膜内にとどまっていた.リンパ節転移は陰性であった.しかし,1977年7月ごろ,背部痛と共に両下肢のしびれ感と運動麻痺を生じ,当院整形外科を受診した.入院後の精査で第7胸椎の圧潰扁平化と溶骨像がみられ,転移性骨腫瘍が疑われた.1977年8月,第6~7椎弓切除術および硬膜外腫瘍切除術を施行した.腫瘍は主として低分化腺癌から成り,胃癌病巣の組織像に極めて類似していることから,胃癌の骨転移と診断された.その後,骨転移巣の増悪に加えて肺転移も生じ,1978年3月死亡した.胃癌術後の全経過は9年であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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