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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻7号

1984年07月発行

今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって

主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 B.陥凹型

吻合部の十二指腸側に著明な狭窄所見を呈して再発した早期胃癌の1例

著者: 芳野純治1 中澤三郎1 川口新平1 岡村正造1 川瀬修二1 太田博郷1 林繁和2 江崎正則2 中村常哉2 大場清3

所属機関: 1名古屋大学医学部第2内科 2名古屋掖済会病院消化器科 3名古屋掖済会病院外科

ページ範囲:P.807 - P.810

文献概要

要旨 幽門下リンパ節⑥に転移を有した早期胃癌が切除後1年3カ月で,吻合部から十二指腸側に著明な狭窄所見を呈して発見された再発例を報告した.1980年3月6日にR2の胃切除が行われ,Biliroth Ⅰ法で再建された.胃癌は幽門前庭部後壁のⅡc型早期癌で,大きさ10×14mm,深達度smの低分化腺癌であった.ly0,v0,aw(-),ow(-),進行程度はP0H0N(-)S0であったが,6番のリンパ節に転移を認めた.そのほか,胃角部小彎にUl-Ⅳの胃潰瘍,Ul-Ⅱ,Ⅲの2個の十二指腸潰瘍瘢痕を認めた.術後良好であったが1年後より腹痛が時々あり,この時期での上部消化管X線造影では明らかな異常はなかったが,術後1年3カ月後(1981年6月18日)には胃腸吻合部から十二指腸のVater乳頭部までの著明な狭窄を呈した.生検では粘膜層内および粘膜下層に腫瘍塞栓を認め,手術時と同じ組織型を呈し転移と考えられた.症状は次第に悪化し患者は同年9月13日に死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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