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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻7号

1984年07月発行

今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって

主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 B.陥凹型

術後8ヵ月で再発し広範な転移を来したsm胃癌の1例

著者: 山村義孝1 紀藤毅1 吉井由利2 小林世美2

所属機関: 1愛知県がんセンター病院外科第3部 2愛知県がんセンター病院内科第1部

ページ範囲:P.811 - P.814

文献概要

要旨 治癒切除後8カ月で再発し,リンパ行性や血行性に広範な転移を来した早期胃癌の1例を報告した.患者は66歳の女性で心窩部痛を主訴として来院した.胃体上部小彎のⅡc型早期癌と診断し1980年8月噴門側胃切除術を施行した.深達度smの低分化腺癌で3番リンパ節に転移がみられたが,補助化学療法は行わなかった.術後8カ月左鎖骨上窩のリンパ節が腫大し,組織学的に胃癌の再発と確認された.その後皮膚や骨・肺への転移が出現し,肺炎と消化管出血を併発して術後1年8カ月で死亡した.剖検では前記転移のほか,頸部・胸部・腹部の諸臓器に転移がみられ,残胃漿膜面にもリンパ節を中心とする転移結節が認められた.本例の再発原因として転移リンパ節の遺残が推定され,早期癌でも噴門側胃切除の適応の決定には慎重でなければならないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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