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今月の主題 早期胃癌の再発死亡例をめぐって 主題症例 特異な経過をたどった早期胃癌の再発死亡例 C.多発性
多発早期胃癌で残胃再発を来し残胃再切除後更に肝転移して9年6ヵ月で死亡した1例
著者: 古澤元之助1
所属機関: 1国立病院九州がんセンター消化器部外科
ページ範囲:P.819 - P.824
文献購入ページに移動要旨 患者は初回胃切除時34歳の男性.病変は胃体部前壁にⅡc(3.0×1.7cm,pap,m,ly0,v0,ow(-))と胃体部大彎にⅠ(3.0×3.0×1.2cm,tub2,m,ly0,v0,ow(-))とがあった.1967年2月12日に胃切除{R2,n1~2(-)〔0/15〕}.術後2年3カ月目に残胃再発のため残胃全摘に膵脾合併切除(R2)が行われた.再発癌は残胃小彎からやや後壁にかけ胃腸吻合部に接して存在し,病巣内にⅡa様隆起を有するⅡc,5.7×4.5cm,tub2,ssγ,ly(+),v(+),n1~2(-)〔0/12〕であった.再手術後5年4カ月ごろから腰痛を来すようになり,1975年3月に肝転移と腰椎への転移と診断された.肝転移に対してはMMC(10mg/週)とtegafur(1,200mg/日),腰椎に対してはテレコバルト照射(1回量200cGy)で治療したところ,一時,肝腫は縮小し症状は軽減し,社会へ復帰することができた.しかし,肝再発後1年5カ月,初回胃切除後9年6カ月で死亡した.剖検で肝転移が確認されたが(tub2~por),腰椎への転移は認められず,再発形式は血行性転移であった.
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