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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻8号

1984年08月発行

今月の主題 胃癌の内視鏡的治療

主題

レーザー療法による胃癌の内視鏡的治療の現況

著者: 岡崎幸紀1 大下芳人1 大谷達夫1 田辺一郎1 有山重美1 相部剛1 竹本忠忠1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.885 - P.894

文献概要

要旨 内視鏡による胃癌病巣の治療の展開について,レーザー内視鏡法による治療を中心に,現状と問題点を述べた.現在のレーザー療法はNd-YAGレーザーを中心とする光凝固法と,腫瘍親和性光感受性物質とargonレーザーまたは色素レーザーのコンビネーションによる光化学療法がある.早期胃癌病巣に対しては,強力な光エネルギーを用いたNd-YAGレーザーによる光凝固法が有利で,粘膜下組織までの癌組織は凝固壊死に陥らせることができる,一方,進行胃癌病巣に対し,Nd-YAGレーザーでは深部までの照射は穿孔の危険性がある.光化学療法は,この点,癌細胞だけの破壊となり正常組織には影響がない.したがって理論的には筋層,漿膜下層への浸潤癌組織に対しても安全に治療が行われる.しかし長時間のレーザー照射を必要とすること,光感受性物質のヘマトポルフィリン誘導体による日光皮膚炎などの副作用の問題がある.レーザー療法による胃癌の治療は,始まったばかりと言えるし,その適応についても制限がある.しかし大切なことは,レーザー療法というのはレーザー内視鏡法でなければできない特異性を持った療法である,という認識である.レーザー療法の今後の展開は,内視鏡医のこの認識の如何によると考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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