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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻8号

1984年08月発行

今月の主題 胃癌の内視鏡的治療

主題

局注療法による胃癌の内視鏡的治療の現況

著者: 原田一道1 水島和雄1 並木正義1

所属機関: 1旭川医科大学第3内科

ページ範囲:P.895 - P.902

文献概要

要旨 今日,内視鏡は診断面だけでなく治療の面でも大いに役立っているが,われわれは1965年以来,手術不能な胃癌,特に早期胃癌に対して各種の制癌剤による局注療法について検討してきた.実験および臨床的な検討から制癌剤の中でもブレオマイシンの局注が最も正常胃粘膜に対する障害作用が少なく,しかも腫瘍組織に対して壊死作用が確実で,かつ適度であることがわかり,今日まで27例の早期胃癌に本剤の局注療法を行ってきた.最長16年の間,再発がみられなかったⅡa型早期胃癌があり,(表面)隆起型早期胃癌が最もよい適応と思われた.そのほか,わが国ではマイトマイシン,OK-432,エタノールなどの局注療法も行われており,リンパ節転移病巣の治療を目的として制癌剤のエマルジョン化など種々工夫されている.今後,更に効果的で安全な薬剤の開発が期待される.しかし,局注療法は胃癌の手術にとって代わるものではなく,その対象は内科側,外科側の意見や本人・家族の意向も含めた総合的判断で手術不能としたものに限るべきと考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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